全固体電池の安全性について解説。本当に安全性は高いのか!?

全固体電池は、従来のリチウムイオン電池(LIB)と比較して、安全性や信頼性が高いと言われています。理由は固体電解質を使用しているためです。しかし、全固体電池のために、安全性が下がった点もあります。

 

本記事では全固体電池の安全性に焦点を当てて解説していきます。

 

本稿では、

「全固体電池の安全性について教えて欲しい」

「全固体電池は本当に安全性が高いの?」

という疑問にお答え致します。

 

 

背景

 

全固体電池の安全性を知るために、初めに従来のリチウムイオン電池との違いを知る必要があります。

 

全固体電池とリチウムイオン電池の違いは、正極と負極のイオンの伝導を担う"電解質"です。

 

全固体電池は"固体電解質"を使用しており、リチウムイオン電池は"液体電解質"を使用しております。

 

この電解質の差が、安全性の差にに繋がっています。

 

リチウムイオン電池と全固体電池の違い

 

 

全固体電池は燃えにくい

 

全固体電池が燃えにくい理由

 

全固体電池が安全性が高いと言われている理由は、固体電解質を使用しているためです。

 

なぜ固体電解質を使用すると安全性が高いの?

 

固体電解質は非常に燃え難いためです。

 

なぜ固体電解質は燃えにくいの?

 

固体電解質が燃えにくい理由は、無機物であるためです。無機物というと想像しにくいですが、お茶碗や皿などの陶器をイメージしてみてください。

 

お茶碗が燃えるイメージがありますか?

 

恐らく、お茶碗が燃えるイメージはないと思います。お茶碗自体が高温で焼成して作られており、成分自体も燃えにくい特徴があります。

 

リチウムイオン電池が燃えやすい理由

 

従来のリチウムイオン電池では、液体電解質を使用しております。液体電解質は燃えやすい特徴があります。

 

なぜ液体電解質は燃えやすいの?

 

液体電解質が燃えやすい理由は、有機物であるためです。有機物というとわかりにくいですが、同じ有機物のエタノールを想像してみてください。エタノールに火を付けたら燃えやすいですよね。

 

全固体電池はショートリスクが低い

 

全固体電池のショートリスクが低い理由

 

全固体電池やリチウムイオン電池では、リチウムイオンなどの金属イオンを電荷を運ぶキャリアとして使用します。

 

金属イオンを使用した場合、充電と放電を繰り返すと、金属イオンが析出する問題が出てきます。金属イオンが析出すると、徐々に析出物が堆積していき、正極と負極がつながりショートしてしまう問題があります。

 

特に負極に充電するとき、金属イオンが、電子を受け取り金属に変わるときに析出していきます。

 

ショートしてしまうと、大電流が流れ、大きく発熱し、燃えてしまいます。これは電池が発火する原因の一つです。

 

全固体電池では、金属イオンが析出して堆積しても、固体電解質が固い障壁として働くため、正極と負極のショートリスクが極めて低いメリットがあります。

 

仮にショートした発熱したとしても、固体電解質では燃えにくい特徴があるため、発火の危険性が極めて低いです。

 

リチウムイオン電池がショートリスク高い理由

 

リチウムイオン電池の場合、液体電解質を使用しているため、障壁として働きません。セパレーターもありますが非常に柔らかいため、これも障壁としては弱いです。

 

析出したリチウムが、セパレーターを突き破ってショートを引き起こすことはよくあります。

 

つまり、リチウムイオン電池の場合、リチウムデンドライト(樹枝状結晶)によるショートリスクが高いです。

 

ショートして発熱した場合、液体電解質が燃えやすい特徴があるため、発火する可能性があります。

 

リチウムイオン電池と全固体電池のショートリスク挙動違い

 

全固体電池ではガス発生リスクがある

 

全固体電池にして安全性(信頼性)が下がった点もあります。特に硫化物系固体電解質を使用した場合に、大気中の水分と反応し、人体に有毒な硫化水素(H2S)ガスを発生します。そのため、硫化物系固体電解質の化学安定性が課題になっています。

 

一方で、酸化物系固体電解質を使用した場合には、ガス発生の懸念はなくなります。酸化物系固体電解質は化学安定性に優れているためです。

 

NEDOのロードマップでは、硫化物系固体電解質を立ち上げた後に、酸化物系固体電解質が立ち上がる予定にになっています。このあたりの情報は以下の記事に記載してあるため、参考にしてみてください。

 

www.batterystudy.com