ヨウ化リチウム電池とは?ペースメーカーに利用される全固体電池について解説。

「ヨウ化リチウム電池」とは、負極にリチウム(Li)、正極にヨウ素(I)を使用した一次電池です。医療用ペースメーカーに使用されていることで有名です。

 

ヨウ素はうがい薬のイソジンなどにも使用される成分です。今回は、そんなヨウ素を使った電池のお話です。

 

本稿では、

「ヨウ化リチウム電池とはどんな電池?」

「ヨウ化リチウム電池の用途や反応について教えて」

という疑問にお答え致します。

 

 

ヨウ化リチウム電池の概要

 

「ヨウ化リチウム電池」とは、負極にリチウム(Li)、正極にヨウ素(I)を使用した一次電池です。ヨウ素リチウム電池や、ヨ ウ素錯体電池とも呼ばれます。

 

非常に安全性と信頼性の高い電池であり、人体に埋め込む医療用(心臓)ペースメーカーに使用されていることで有名です。アメリカで開発されて、国内メーカーで販売はしていません。

 

セパレーターと電解液は使用されておらず、反応によって生成される固体電解質を使用しています。全固体電池の前身の電池でもあります。

 

以下、ヨウ化リチウム電池の特徴をまとめた表になります。

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用途

 

ヨウ化リチウム電池の用途は、 高い安全性と信頼性から医療用ペースメーカーやメモリバックアップなどに使用されます。

 

ペースメーカーとは、心臓に電気信号を送り、一定の心拍数を保つ発振器です。人体に手術で埋め込んで使用されます。

 

ヨウ化リチウム電池は、安全性と信頼性が臨床実験でも確認されており、開発当時には、すべてのメーカーのすべてのペースメーカーに採用されるほどです。

 

歴史

 

ヨウ化リチウム電池の歴史は、 1968年頃に米国の会社(現在廃業)が開発したことが初めてとされます。その後、ウィルソン・グレートバッチという方が、"心臓ペースメーカーに使えるのではないか"と、開発を初めて成功しました。

 

彼はこの電池を生産するGreatbatch社(現Integer Holdings Corporation)を設立し、現在、世界のペースメーカーの90%に採用されています。

 

この電池の開発により多くの人の命を救いました。ノーベル賞に相応しい人物ではないでしょうか。

 


Wilson Greatbatch, 1996 Lemelson-MIT Lifetime Achievement Award Winner

 

主力メーカーはアメリカで、国内でヨウ化リチウム電池を作っているメーカーはありません。

 

構成

 

ヨウ化リチウム電池の構成は以下のとおりです。

 

  • 正極 ヨウ素(I)、ポリビニルピリジン(錯体形成)
  • 負極 リチウム(Li)
  • 電解液 固体電解質
  • セパレーター なし(生成する固体電解質で仕切られる)

 

電解液・セパレーターはありません。リチウムとヨウ素が反応することにより、固体電解質(ヨウ化リチウム)が生成されます。この固体電解質が、電解液質とセパレーターの役割をします。

 

いま話題の「全固体電池」の前身の電池で、大変素晴らしいコンセプトの電池です。

 

また、どんな電池にでもショート懸念があります。しかし、この電池はショートしても、固体電解質が新たに生じるためショートが起こる心配がありません。このため、非常に高い安全性と信頼性があります。そこが心臓ペースメーカーに使われる理由です。

 

反応

 

ヨウ化リチウム電池の反応は以下のとおりです。

 

  • 負極 リチウムがリチウムイオンとなり、電子を放出します。
  • 正極 ヨウ素が電子とリチウムを受け取り、ヨウ化リチウムを生成します。

 

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固反応は非常にシンプルな反応です。

 

起電力

 

ヨウ化リチウム電池の公称電圧は具体的に定められてはいません。しかし、原理的には、リチウムの標準電極電位が約-3Vで、ヨウ素の標準電極電位が約0.5Vなので、理論起電力としては3.5V程度は出ます。平均放電電圧を考えても3V程度は出ると予想されます。

 

特徴

 

ヨウ化リチウム電池の特徴は以下のとおりです。 

 

メリット

  • 放電時一定電圧
  • 高容量(5~10年の寿命)
  • 高い信頼性
  • 自己修復性
  • 動作温度が幅広い

 

デメリット

  • リチウムが高い
  • リチウムが危険
  • イオン伝導性が悪い

 

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