リン酸形燃料電池(PAFC)とは?原理と特徴について解説。最も早く商用化された燃料電池。

「リン酸形燃料電池(PAFC)」とは、負極(燃料極)に水素(H2)、正極(空気極)に酸素(O2)、電解質としてリン酸(H3PO4)水溶液を用いた燃料電池です。工場やビルなどのコジェネレーションシステムとして実用化使用されます。 

 

燃料電池には複数の種類があります。今回はリン酸形燃料電池を紹介します。

 

本稿では、

「リン酸形燃料電池とはどんな電池?」

「リン酸形燃料電池の用途や反応について教えて」

という疑問にお答え致します。

 

 

リン酸形燃料電池の概要

 

「リン酸形燃料電池(PAFC)」とは、負極(燃料極)に水素(H2)、正極(空気極)に酸素(O2)、電解質としてリン酸(H3PO4)水溶液を用いた燃料電池です。英語では、Phosphoric Acid Fuel Cellと表記して、PAFCと略されます。日本では最も早く商品化された燃料電池になります。

 

この燃料電池の特徴は、電解質にリン酸(H3PO4)水溶液を使用していることです。そのため、リン酸形燃料電池と呼ばれています。動作温度は200℃であり、低温形燃料電池のなかでは最も高い作動温度です。

 

原理は、各種燃料電池とほぼ同じです。酸素と水を反応させると水が生成し、電気が流れます。

 

工場やビルなどのコジェネレーションシステムとして実用化使用されます。 

 

以下、リン酸形燃料電池の特徴をまとめた表になります。

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用途

 

リン酸形燃料電池の用途は、 ビル、工場、病院、ホテル、下水処理場、防災用などです。コージェネレーションシステムとしても利用されています。

 

下水処理場では、汚泥から燃料のガスを取り出し、燃料電池に供給しながら発電を行います。このとき発生した熱は汚泥からガスを取り出すのに使用されます。 

 

歴史

 

リン酸形燃料電池の歴史は、1889年にイギリスのモンド及びランジャーが開発したのが始まりとされます。その後、1967年のTARGET計画により、ガス会社を中心に開発が進みました。民生用はアメリカを中心に開発されたようです。

 

日本では、 1978年のムーライト計画で開発が進めらられました。1980年には、富士電機と関西電力により開発が始まり、1998年から商品化が始まりました。現在も、国内では富士電機のみが、リン酸形燃料電池の事業を行っており、世界的にも最も先行して開発されています。日本では10ヶ所以上で導入されています。

 

富士電機は重電機のトップメーカーです。売上8000億を超える超大手で、家電は撤退したのであまり馴染みがないです。しかし、自動販売機の国内シェアNo.1、インバータなども国内No.2です。

 

構成

 

リン酸形燃料電池の構成は以下のとおりです。動作温度は200℃であり、低温形の部類に入ります。ちなみに高温形の固体酸化物形が800~1000℃と高い温度域のためです。

 

  • 正極(空気極) 酸素(O2) 多孔質カーボン
  • 負極(燃料極) 水素(H2)
  • 電解質 リン酸(H3PO4)水溶液
  • セパレーター
  • 触媒 白金(Pt)

 

電解質が酸性のため、金属は酸化されてしまいます。よって、多孔質カーボンが使用されます。 多孔質カーボンの表面には白金触媒がコーティングされています。

 

一酸化炭素が不純物として含まれると白金表面に付着して、触媒作用を劣化させてしまいます。そのため、高純度燃料が求められます。

 

電解質を除くと、固体高分子形燃料電池と同じ構造です。

 

反応

 

リン酸形燃料電池の反応は以下のとおりです。

 

  • 負極 水素(H2)が、水素イオン(H+)を生成し電子を放出します。
  • 正極 酸素(O2)が水素イオン(H+)と電子を受け取り、水(H2O)を生成します。

 

アルカリ形は水酸化物イオン(OH-)が電荷移動に使用されましたが、リン酸形では水素イオン(H+)が電荷移動に使用されます。

 

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起電力

 

リン酸形燃料電池の起電力は1.23Vです。こちらもセルを積層して高電圧を実現して使用されます。1セル1Vでも、直列で5つ繋げば5Vになります。

 

特徴

 

リン酸形燃料電池の特徴は以下のとおりです。 

 

メリット

  • 固体形と比較して低温の動作
  • 希硫酸を用いた酸性形燃料電池と比較して、劣化が遅い。

 

デメリット

  • 高純度燃料が必要で高コスト化 
  • 固体形と比較して発電効率が低い

 

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