溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)とは?原理と特徴について解説。

「溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)」とは、負極(燃料極)に水素(H2)または一酸化炭素(CO)、正極(空気極)に酸素(O2)使用し、電解質に炭酸リチウム(Li2CO3)と炭酸ナトリウム(Na2CO3)の混合物で構成された溶融炭酸塩とそれを保持するセラミックを使用した燃料電池です。用途は、工業用の火力発電の代替や、コージェネレーションシステムです。

 

燃料電池には複数の種類があります。今回は溶融炭酸塩形燃料電池を紹介します。

 

本稿では、

「溶融炭酸塩形燃料電池とはどんな電池?」

「溶融炭酸塩形燃料電池の原理や特徴について教えて」

という疑問にお答え致します。

 

 

溶融炭酸塩形燃料電池の概要

 

「溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)」とは、負極(燃料極)に水素(H2)または一酸化炭素(CO)、正極(空気極)に酸素(O2)使用し、電解質に炭酸リチウム(Li2CO3)及び炭酸ナトリウム(Na2CO3)の混合物で構成された溶融炭酸塩とそれを保持するセラミックを使用した燃料電池です。

 

基本的な原理は水素と酸素から、水と電気エネルギーを生みだします。燃料として、水素の他に一酸化炭素も使用されます(白金触媒使用しないため)。そのため、天然ガス、石炭ガス、都市ガスが利用でき、既存インフラを転用できる点が大きなメリットです。

 

この電池の大きな特徴は、電解質に炭酸リチウム(Li2CO3)及び炭酸ナトリウム(Na2CO3)の混合物で構成された溶融炭酸塩とそれを保持するセラミックを使用していることです。

 

炭酸塩は常温では固体で導電性がありません。しかし、高温にするとにより、炭酸塩が溶けて液体になり、高い導電率を示します。そのため、600~700℃の高温で動作します。高温のため、発電効率が高くなります。このときの廃熱も利用できます。

 

用途は、工業用の火力発電の代替や、コージェネレーションシステムです。

 

以下、溶融炭酸塩形燃料電池の特徴をまとめた表になります。

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用途

 

溶融炭酸塩形燃料電池の用途は、 工業用の火力発電の代替や、コージェネレーションシステム、航空機の補助電源です。

 

 

歴史

 

溶融炭酸塩形燃料電池の歴史は、 1921年にドイツのパウルにより開発されたのが最初とされます。

 

日本では、1981年~2004年まで火力代替発電システムを将来目標に研究開発を進め、200-300kW級の分散型発電システムでを実証してきました。

 

中部電力、IHI、電力中央研究所などが開発を行っております。

 

構成

 

溶融炭酸塩形燃料電池の構成は以下のとおりです。

 

  • 正極(空気極) 酸素(O2) 
  • 負極(燃料極) 水素(H2)
  • 電解質 溶融炭酸塩(炭酸リチウム(Li2CO3)と炭酸ナトリウム(Na2CO3)の混合物)
  • セパレーター

 

電極は正極、負極ともに多孔質ニッケルを用います。正極は高温で酸化ニッケルになります。

 

電極にニッケルを使用するのは、同じ高温形燃料燃料電池の「固体酸化物形燃料電池」と同じです。

 

高温設備のため、外装は腐食しないステンレスなどを使用します。

 

反応

 

溶融炭酸塩形燃料電池の反応は以下のとおりです。

 

  • 負極 水素(H2)と炭酸イオン(CO3)2-)、水(H2O)と二酸化炭素(CO2)を生成し電子を放出します。
  • 正極 酸素(O2)が電子を受け取り、酸素イオン(O2-)を生成します。

 

水素イオン(H+)の代わりに炭酸イオン((CO3)2-)を利用する、アニオン交換型の燃料電池です。

 

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起電力

 

溶融炭酸塩形燃料電池の理論起電力は1.23Vです。しかし、内部抵抗のため、0.7V程度になります。1セルが0.7Vと低電圧であるため、積層(直列)して高電圧にして使用します。 

 

 

特徴

 

溶融炭酸塩形燃料電池の特徴は以下のとおりです。 

 

メリット

  • 低温形に比べて発電効率が高い
  • 廃熱を利用したコージェネレーションシステム
  • 都市ガスも利用可能で、既存インフラを転用可能 
  • 白金触媒不要でコストダウン、一酸化炭素使用可能
  • 大型化設備に適している

 

デメリット

  • 高温動作が必要
  • セラミックス材が高コスト
  • 起動時間が長い 
  • 小形化が困難

 

 

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