薄膜型全固体電池とは?特徴や作製方法について解説。

「薄膜型全固体電池」とは、固体電解質や正極材料や負極材料を、気相法を用いて、薄膜化して積層した全固体電池のことです。

 

全固体電池は、バルク型と薄膜型がありますが、本稿では薄膜型に焦点を当てて解説致します。バルク型と薄膜型の違いは以下の記事で説明しています。

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本稿では、

「薄膜型全固体電池とはどんな電池?」

「薄膜型全固体電池の特徴や作製方法について教えて」

という疑問にお答え致します。

 

 

薄膜型全固体電池

 

「薄膜型全固体電池」とは、固体電解質や正極材料や負極材料を、気相法(スパッタ、真空蒸着、パルスレーザー堆積)を用いて、薄膜化して積層した全固体電池のことです。

 

薄膜型全固体電池は、電池の内部抵抗を低減するため、構成する材料は薄膜で構成されていることが最大の特徴です。

 

薄膜型にするメリットとして、内部抵抗を低くでき、サイクル特性が良くでき、優れた温度特性を持たせることが可能です。デメリットとしては、大型化ができないことや、エネルギー密度が低いことが挙げられます。

 

全固体電池については、以下の記事で解説しております。

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用途

 

薄膜型全固体電池の用途は、ICカードやウェアラブルコンピュータや整体用デバイスなどです。既に実用化されております。

 

ヨウ化リチウム電池という、一次電池の全固体電池も既に心臓のペースメーカーとして実用化されています。

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歴史

 

1983年に蒸着法により作製された薄膜型全固体電池が初めて報告されました。固体電解質はLi3.6Si0.6P0.4O4、正極はTiS2です。固体電解質のイオン伝導度は10^(-6) Scm-1オーダーであり、非常に高い抵抗値です。

 

1986年には、プラズマCVD法を用いて、正極活物質の配向性を良くして、Liイオンの挿入脱離を良くした電池が開発されました。

 

その後、スパッタ法やヨウ化リチウムを用いた薄膜型全固体電池が開発されます。

 

1993年には、Li2.9PO3.3N0.46(通称LIPON)が開発されました。LIPONは金属Liに対して高い安定性があり、かつイオン伝導も比較的高いため、優れた材料です。

 

LIPONの出現から、正極にコバルト酸リチウム(LiCoO2)を使用した材料が報告され始めました。

 

LIPONについては以下の記事の「非晶質(ガラス)」の項目を参考にしてみてください。

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構造

 

以下、薄膜型全固体電池の図になります。固体電解質のイオン輸送抵抗を低減するため、材料が非常に薄いことが特徴です。薄膜型全固体電池の厚みはわずか10um(ミクロン)程度です。

 

紙や髪の毛が50~100umであることを考えると、非常に薄いです。1/5程度です。

 

 

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作製方法

 

薄膜型全固体電池は、気相法(スパッタ、真空蒸着、パルスレーザー堆積)で、薄膜化及び積層して作製されます。従って、使用する電池材料は薄膜になります。

 

スパッタ法

真空中でアルゴンなどをイオン化して活物質に衝突させて、別の基板に堆積させます。

 

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真空蒸着法

真空中で蒸着したい材料を加熱し、気化(昇華)させます。気体となった蒸着材料が、基板に衝突し、付着することによって、蒸着薄膜が形成されます。

 

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レーザーアブレーション法

強いレーザー光を固体表面に照射します。これにより、局所的に高温となり、表面層が蒸発することで、原子、分子、プラズマ、およびそれらのクラスターが飛散して、基板に付着及び堆積します。

 

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特徴

 

メリット
  • サイクル特性が良い(数千回)
  • 抵抗を低くできる
  • 優れた温度特性
  • 安全性高い

 

デメリット
  • 大型化ができない
  • エネルギー密度が低い