【リチウムイオン電池】コバルト酸リチウム(LiCoO2)とは?特徴や構造について解説【全固体電池】

コバルト酸リチウム(LiCoO2)とは、リチウムイオン電池の代表的な正極材料です。現在、市販されているリチウムイオン電池のほとんどがこの材料をベースに開発されています。

 

コバルト酸リチウム(LiCoO2)について解説していきます。ノーベル賞受賞に繋がったリチウムイオン電池の正極材料です。

 

本稿では、

「コバルト酸リチウムはどんなもの?」

「LiCoO2の特徴や構造について教えて欲しい」

という疑問にお答え致します。

 

 

概要

 

コバルト酸リチウムは組成式(分子式)LiCoO2で表わされる化合物です。別名は、二酸化リチウムコバルト、または酸化リチウムコバルト(III)です。リチウムイオン電池材料としては、LCOと呼ばれます。

 

コバルト酸リチウムは、英語でLithium cobalt oxideと呼ばれ、IUPACでは、 lithium cobalt(III) oxideと表記されます。分子量は97.87g/molです。

 

 

リチウムイオン電池の正極材料(4V級)として使用されます。

 

現在、市販されているリチウムイオン電池のほとんどがこの材料をベースに開発されています。

 

リチウムイオンを電池では、充電時にリチウムイオンとして、リチウムを放出します。放電時はリチウムイオンを構造内に取り込みます。

 

歴史

 

コバルト酸リチウムは、1980年にグッドイナフ氏と、水島公一氏により開発された材料です。

 

2019年にはグッドイナフ氏はノーベル化学賞を受賞しました。

 

1991 年にリチウムイオン二次電池がソニー株式会社から発売されて以来、現在に至るまで今だにコバルト酸リチウムが正極材料の主流の位置付けにある。

 

構造

 

コバルト酸リチウムの構造は、α-NaFeO2型(ヘルマン・モーガン記号で空間群R3m)と呼ばれる層状岩塩構造です。

 

コバルト酸リチウム 構造

 

酸化物イオンが面心立方構造をとり、立方最密充填となっています。酸化物イオンは層状の面を構成し、その相関にリチウムイオンとコバルトイオンが一層おきに存在します。

 

コバルトと酸素原子の八面体(CoO6)で構成される層(二次元平面)と層の間に、リチウムイオンが存在する(3aサイト)構造です。

 

電気化学特性

 

電池反応

 

リチウムイオン電池で充電時には、コバルト酸リチウムは、CoO6の層間をリチウムイオンが平行移動(拡散)して放出されます。

コバルト酸リチウム 充電

 

放電時にはリチウムイオンがCoO6の層間に戻ります。

コバルト酸リチウム 放電

 

充電時の反応は以下の通りです。

LiCoO2  ⇒ Li+ + e- + CoO2 

 

リチウムイオンを放出すると、電気的に中性を保つため、コバルトは3価から4価に変化します。上記の式に、酸化数を追加すると以下ようになります。

 

Li(+)Co(3+)O2(2-)  ⇒ Li(+) + e- + Co(4+)O2(2-)

※カッコ内が酸化数です。

 

結晶構造がc軸方向に収縮します。負極に黒鉛(グラファイト)を用いた場合は、リチウムイオンが挿入されて膨張しますが、正極では収縮が起こるため、電池内の体積膨張を緩和する方向に働きます。

 

三次元のスピネル系と比較しても拡散係数が高いと言われています。

 

理論容量

 

コバルト酸リチウムリチウムの理論容量は274mAh/gです。求め方は以下の記事で解説しています。簡単に求められます。

 

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しかし、実際には理論容量の約半分の 150 mAh/g 前後です。これは充電により約半分のリチウムイオンを半分以上脱離させると、酸素層間が拡大して壊れていきます。

 

さらに、結晶構造が六方晶から単斜晶へ相転移します。4.2Vから4.8Vまで電位が上昇し、構造が不安定になり、コバルトイオンの溶出と電解液の酸化分解が起こります。

 

単斜晶への相転移をいかに抑えることできるかが、容量UPのポイントと言われています。

 

そのためにはコバルトの一部をニッケル、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、その他多くの元素で置換することにより、構造の安定化を図り、容量や電池特性を向上させる取り組みがされています。

 

安全性

 

コバルト酸リチウムを使用した電池は高温(>130℃)で使用や、過充電のときに熱暴走の懸念があります。

 

温度が上昇すると、コバルト酸リチウムは分解して酸素を発生します。その酸素が電解質の有機溶媒と反応します。この反応は発熱の大きい反応で、周囲のセルにまで熱暴走が拡大したり、周囲の可燃物に引火する危険性があります。

 

価格

 

コバルト原料はコバルト酸リチウムの価格の 7~8 割を占めることになる。

 

以下の記事が参考になります。

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作り方 

 

コバルト酸リチウム(LiCoO2)の作り方は、「コバルト化合物」と「リチウム化合物」を原料として加熱し合成させることにより得られます。

 

コバルト化合物としては、酸化コバルト(Co3O4)が用いられています。理由は、供給安定性、品質安定性、ハンドリングのしやすさ、作製した時の副生成物が少ないためです。

 

リチウム化合物としては炭酸リチウム(Li2CO3)が主に使われています。

 

以下の図はコバルト酸リチウムの製造方法になります。

コバルト酸リチウム 作り方

 

メーカー

 

コバルト酸リチウムのメーカーとしては、日亜化学工業日本化学工業などが知られています。

 

 

 

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